経費削減に悩む経営者や総務の方々を多いはず。ただ、やみくもに経費を削減してしまうと、売上まで下がってしまう事態に陥ってしまうことも。「必要経費は削らずに利益だけ増やしたい!」そんな夢のような希望を叶えてくれるのが…
オフィスの節電です。
東京商工リサーチの調査によれば「これから水道光熱費の削減に取り組みたい」と答えた企業はなんと半数以上。中でも電気代の節約を目標とする企業が最多。
消費税増税後に経費削減に取り組んでいる1,946社の削減対象は、「水道光熱費」が1,007社(構成比51.7%)で最多だった。
これから夏を迎えれば、クーラー代がかさんで電気代もうなぎ上りになります。そうなる前に、オフィスの節電を本気で取り組みましょう!
オフィスの電気代事情
電気代節約のためには経営者の意識が最も必要ですが、一人だけモチベーションが高くても社員たちの協力と理解が不可欠となります。
社内の理解を得る数値根拠を得るためにも、まずはオフィスの電気代はどのような計算方法になっているのか、年間いくらぐらいかかるのが平均なのか、どのようなものに多く使われているのか知っておくことが重要です。
オフィスビルは「電灯+動力」2種類契約
東京電力の場合、オフィスの電気契約は照明やOA機器用の「電灯」と、それより大きな電力を必要とする「動力」用のプランがあります。ちなみに、東京電力の場合だと「電灯」の契約は…
- 従来の料金表で60A以下の「従量電灯B」
- 70A以上利用する場合の「従量電灯C」
また「動力」の契約は「低圧電力・動力プラン」などと呼ばれています。
主なオフィス電気機器のアンペア数
オフィスには様々な電気機器があります。それぞれどの程度のアンペア数が必要なのか?以下にまとめてみました。
機器 | 使用アンペア |
ノートPC | 0.5〜1A |
デスクトップPC | 1〜4A |
レーザープリンター | 2〜8A |
複合機 | 12〜20A |
シュレッダー | 3〜6A |
冷蔵庫 | 2.5A |
電子レンジ | 15A |
電気ポット | 8〜12A |
自動販売機 | 15A |
オフィスには社員の福利厚生や来客対応用に、冷蔵庫や電子レンジ、さらには自動販売機などを備えていますよね。こうした電化製品が思っているより消費していることを覚えておきましょう。
それらを踏まえアドバイスさせてもらうと…
POINT
- 社員10名以下:従量電灯Bの50Aまたは60A契約
- 社員10名以上:従量電灯Cまたは動力プラン
あくまでアドバイスです。契約プランについては専門家(電力会社など)に確認してください。
平均電気利用量は月39.5kWh/坪
使用される電気は、オフィスの面積1坪に対して平均39.5kWhという調査データがあります。
対して社員1名に対するオフィスのスペースは2〜4.5坪。社員1名あたり月79kWh〜178kWhの電気利用量になると考えられます。
仮に社員5名の企業はマンションの1室で東京電力の「従量電灯B」を利用、社員20名以上は「従量電灯C」+「低圧電力(動力)」で利用していたとしたら、平均の月電気代は以下のような金額になると計算できます。
- 社員数5名:11,300円/月
- 社員数20名:51,000円/月
- 社員数50名:126,000円/月
- 社員数100名:252,000円/月
上記は目安ですが、これに近いコストが「毎月必ず掛かっている」とご存知でしたか?
経理の方なら毎月の請求明細を見ているでしょうが、経営者だと細分化したコストまでは確認していないはず。削減できる経費というのは意外と目の前にあったりするものです。
節電のカギは空調にあり!
出典:資源エネルギー庁の推計
資源エネルギー庁の推計によると、オフィスの電気利用量の内、空調が占める割合はおよそ半分の48%。節電を考えるなら、まず空調の利用方法から見直しましょう!
セントラル空調と個別空調
出典:個別空調とセントラル空調
オフィスビルの空調には2種類あります。
ビル側で温度や空調管理を一括して管理する「セントラル空調」と、個別に設定・変更可能な「個別空調」。まずは自分のオフィスはどちらの空調のタイプか、個別空調になっている範囲はどこかを確認しましょう。
個別空調の場合、どのスイッチがフロアのどの位置と連動しているのか、認識しておくと節電効率が上がります。利用していない時間帯はどこの空調を切れば良いのか?温度を高めにセットした方が良いエリアはどこか?などの計画が立てやすくなります。
セントラル空調の場合は、管理会社への問い合わせも必要となりますが、最近はリースなどを利用して安価で導入することが可能となりました。
クールビズ・ウォームビズ
クールビズ期間は毎年環境省が発表しているのをご存じでしたか?ちなみに、平成30年は以下のようなかたちで発表されています。
クールビズは室内温度28℃、ウォームビズは20℃が推奨温度とされています。空調を極力使わなくても良いように、クールビズ・ウォームビズを社内で推進しましょう。
営業担当者はクライアントの手前「なかなか参加しづらい」という意見も多いでしょう。そのような場合は、経営者や上司の方がメールの署名に注意書きを入れたり、名刺にクールビズの公式ロゴを印字したりするのも一つの手です。
仕事へのモチベーションもアップし、電気代も安くなる。一石二鳥ですw
風よけ対策や卓上ファンを有効活用
男性社員が暑がる一方、女性社員がカーディガンや膝掛けなどをかけて震えている、という光景、どこのオフィスでもあることではないでしょうか?
オフィス内でずっと空調に当たり続けている社員にとって、夏のクーラー直撃は体調不良の元凶。冷気は床にたまりやすく冷却効率も下がるので、卓上ファンなどを利用して分散させるようにしましょう。
また、風よけ対策の商品もおすすめです。私の事務所には導入済ですが、風が直に当たらなくなって快適になりました!
出典:LOHACO 風よけ商品
扇風機なら1時間使ったって電気代1円も掛からず、風よけ商品はたったの数千円で買えます。「電気代の節約+悩み解消」ができるので、すぐにでも実践されてください!
照明+OA機器は電力消費の4割
どんなに空調の利用を減らそうとしても、室温は社員の生産性に直結するので限度はあります。そこで、空調に次いで割合が大きい、照明とPCなどのOA機器の節電方法にも注目していきましょう。
照明代の節約テクニック3
消費電力の24%を占める照明代は、小さなアクションの積み重ねで節約できます。
まずは、執務エリアの電灯を間引きしましょう。社員がパソコンを利用するエリアならいざ知らず、コピー室やロッカースペース、給湯室など、電灯がそこまで多くなくても良い場所はあるのでは?
次に、照明を従来型の蛍光灯から高効率蛍光灯やLED照明に交換しましょう。購入コストはかかりますが、交換の手間はなくなり、かつ節電効果が従来型に比べて非常に高いため、購入コストも数ヶ月で回収できます。
最後に、オフィスの消灯時間を決めるのも良い方法です。
例えば昼食時間になったら消灯、夜8時以降は消灯するなど、社員に無用な残業をさせずに早い退社を促し、必要に応じて早い時間の出勤を奨励するなどの方法をとっても良いでしょう。
OA機器周りの節電方法
OA機器周りは消費電力の16%を占めています。利用しない時にはこまめにOA機器の電源を切る、ディスプレイの明度を下げる、などのアクションが重要です。
例えば、帰宅時間には必ずOA機器の電源をオフにするようにしましょう。
複合機には近年「省エネモード」という機能を搭載している機種もあり、一定時間使用されないとアイドリングモードになって電力消費を抑えてくれます。こうした機能を上手く使えると良いですね。
ディスプレイは点いたままだとそれだけ電力を消費します。個人情報や機密情報の漏洩にも繋がるので、社員のパソコンは必ずスクリーンセーバーをかけるように義務づけること、ノートパソコンなどは席を離れる時は閉じておく、などの工夫をすると良いでしょう。
何事も”やりっぱなし”で良いことないですからねw
1番の電気代節約は電力会社を変えること
今日はオフィスの節電方法について見ていきましたが、これらの節電策は社内で推進しようにも、なかなか理解が得られない、長続きしないなどの課題を抱えがちです。
やはり、最も効果があるのは契約電力会社を変えることです。
一度に数万円以上電気代を安くすることができ、契約時に高額キャッシュバックする新電力もあります。もし、電力自由化で得していないのであれば、是非この機会に見積もりだけでもされてみては如何でしょうか?