株式会社エネットの設立は2000年7月です。新電力企業の中では老舗(しにせ)といえそうです。
エネットのホームページを開くと「新電力No.1」という文字が飛び込んできます。その実力を徹底調査してみました。
エネルギー大手とIT大手が提携した会社
出典:エネットHP
株式会社エネットは、東京ガス、大阪ガス、NTTファシリティーズの3社が出資した新電力会社です。すなわち、エネルギーの大手とIT大手が提携した強力な体制をもつ電力会社といえます。
心強い印象を持ちますね。
「自社」発電と他社からの買い取りで全国200カ所の電源を確保
エネットに出資した3社はそれぞれ自社で電気をつくっています。NTTファシリティーズは、千葉県や広島県、兵庫県で太陽光発電を行っています。
東京ガスは神奈川県と千葉県にガスを使った発電所を設置しています。大阪ガスは大阪府、兵庫県でガス発電をしていて、さらに和歌山県で風力発電をしています。
さらにエネットは他社からも電気を買っていて、現在では200カ所以上の発電所から電気を集めて顧客のところに電気を送っています。
沖縄以外の全国に展開、契約件数36,000件の実力
さて、エネットは自らNo.1を名乗っています。しかし自分で「一番」という企業を、にわかには信じられないですよね。また、本当の一番だったとしても、「何の1番なのか」が分からないと、「すごい」とは言えないと思いませんか?
新電力とは300社以上ある小売電気事業者のこと
ちなみに新電力会社とは、電気の供給事業に新規参入した「小売電気事業者」のことです。東京電力や関西電力といった地域に昔からある大手電力会社とはジャンルが異なる会社です。新電力会社は電力全面自由化という規制緩和が行われたことで全国に300社以上設立されました。
エネットは300社のうちの1社です。
エネットのNo.1は本物
しかしご安心ください、エネットは本当のNo.1です。
エネットは2016年までの16年間にわたって、新電力会社約300社の中でシェアNo.1です。ちなみに2017年の実績はまだ公表されていません(2018年3月現在)ので、2016年まで1位ということはずっと1位ということです。
家庭への電力供給は強くない?
エネットがカバーしているのは以下の地域となります。
エリア |
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北海電力管内、東北電力管内、東京電力管内、北陸電力管内、中部電力管内、関西電力管内、中国電力管内、四国電力管内、九州電力管内です。
電力を提供していないのは沖縄電力管内だけです。
沖縄県と離島の方以外は、原則誰でもエネットから電気を買うことができます。大手の電力会社はエリアが決まっているので、エネットは「ある意味では東電よりすごい」ともいえます。(ちょっと持ち上げすぎでしょうか)
しかし、エネットには「ちょっとした問題」があります。それは…
家庭向けの電気サービスが微妙かもしれないこと。
エネットは家庭向け電気の料金プランを公開していない
ここから家庭向け電気料金についてお話します。本来はここで、エネットと大手電力会社との料金を比較する表をお見せするところなのですが、エネットについてはそれができません。
なぜなら、エネットは料金プランを公表していないからです。
エネットのホームページをくまなく探しましたが見つかりませんでした。一般的な新電力会社は、自社の電力量料金をホームページに掲示して「どうです、安いでしょ」とPRしますが、エネットはそれをしないのです。
「安い」とは一言も言わない
エネットのホームページには、家庭向けの電気について解説する「個人のお客さま」というページがあります。そのページを見ても「安い」「おトク」「低額」「コストダウン」といった言葉は一言も出てきません。
出てくるのは、
というキャッチフレーズです。家庭に電気を届けるのはエネットではないのです。
エネットが家庭に電気を直接届けるわけではない?
それなら、エネットには「うちはご家庭用には電気をお届けしていません」とことわりを入れてほしいですよね。ところがエネットはそうも言わないわけです。
どういうことかというと、エネットはパートナー企業を通じて一般家庭や個人の客に電気を届けているのです。
という流れです。
うーん。これは「エネットが家庭に電気を届けている」といえるのでしょうか。言えないわけではありませんが、少し「?」が残ります。
実際エネットは、ホームページで、
- ご家庭のお客様へ直接の受付は現在行っておりません
- 個人・ご家庭のお客様への提供はお申し込みに条件がございます
とも言っています。
エネットに関する口コミ、評判は?
それでは次に、エネットに対する口コミや評判をみてみましょう。
結論から申し上げますと、ツイッターではあまりエネットに対する口コミが見つかりませんでした。エネットは家庭向けや個人客向けのサービスに力を入れていないようなので、個人の投稿が多いツイッターではあまり話題になっていないようです。
社内の人はあまり自社をよく思っていない?
株式会社エネット 年収と評判・口コミ 部署にもよるが、休日の出勤はあまりない。営業関連のところは休日でも出勤したという話を聞く。平日は残業も普通にある。暇な部署と忙しい部署の差が大き… https://t.co/uGZV9T86PC #キャリコネ口コミ
— キャリコネ (@careerconne) 2015年12月15日
これはエネット社内の人が書いたような文面になっていますが、内容としてはあまり自社のことをよく思っていないようです。ただ、この投稿者がエネット関係者かどうかは不明です。
エネットにして電力コストが大幅ダウンしたとの投稿
足立区電力費用大幅削減へ
区の電力契約がH25年迄の東電との年間契約は約7100万円。PPS事業者の導入でH26年〜28年は、株エネット社とは約4000万円、H29年〜31年迄は東京電力エナパと契約し約1400万円になる。大幅削減へ pic.twitter.com/NNo6O6u4ly— 前野和男 (@maeno105) 2018年3月2日
こちらのツイッター投稿者は、足立区が電力契約を東京電力からエネットに変え、それまでの費用年7,100万円が年4,000万円にまで減った、と言っています。
しかしエネットから他社に切り替えたら、年1,400万円にまで減ったとも言っています。
強みはビルや工場などへの電力供給
個人向けの電力供給では、いまひとつ本気度が感じられないエネットですが、ビルや工場、大企業など、大量に電気を使う顧客向けにはすごい実績を叩き出しています。
のきなみ数百万円のコストダウン
- 食品工場 300万円
- 病院 280万円
- 水産加工場 304万円
- スキー場 600万円
これらは何の数字かというと、大手電力会社からエネットに乗り換えた企業が、1年間に削減できた電力量料金の金額です。
特に注目したいのはこのスキー場で、年間600万円削減という数字もすごいのですが、なんと大手電力会社時代より年20%も削減できたのです。
つまりこのスキー場はそれまで年間3,000万円の電気量料金を支払っていたのですが、エネットに変えたことで年2,400万円(=3,000万円-3,000万円×20%)になった、ということです。これはスキー場の社長さんも大喜びなのではないでしょうか。
電力料金の減額はその年で終わらない。ずっと効果を出し続ける
スキー場の年600万円削減、食品工場の年300万円削減、病院年280万円削減などは、この効果がずっと続くという特長があります。
企業はよくケチケチ作戦を敢行しますが、普通のケチケチ作戦はケチケチ作戦を止めた途端にコストダウン効果がなくなってしまいます。
しかし電力のコストダウンにはそのような心配がないのです。年600万円の削減効果は、エネットと契約している限り継続します。企業が電力量料金の削減に取り組むのは、そのためなのです。
まとめ
全国展開しているエネットは、多くの工場や企業などに対し、計り知れないメリットをもたらしています。これぞ新電力のパワーといえるのではないでしょうか。
ただ、家庭向けは得意ではないようですね。一般消費者としては、家庭向け電気を行っている以上「電気料金ぐらいは知りたい」ところですが…。もし、家庭向けの新電力をお探しなら、敢えてエネットを選択するのはちょっと違う気もします。
以下の記事で紹介している新電力の方がお得になれそうなので、候補が定まっていないなら是非参考にしてください。また、法人や個人事業主向けのおすすめ新電力も紹介しているので、該当する方をどうぞ。