F-Powerってあまり聞いたことがないですよね。新電力の会社は星の数ほどあるので、知らない会社があるのは当然です。
しかしF-Powerが一般消費者にあまり知られていないのは、実力がないからではなく、主に企業向けに電気を売っているからです。ですので、企業にお勤めの方に聞くと「うちの会社はF-Powerから電気を買っているよ」とおっしゃるかもしれません。
F-Powerはいま、発電所を次々つくり「全国展開」を狙っているのです。
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F-Powerとは?
株式会社F-Powerは2009年にできたばかりの会社です。電気を売り買いしているだけでなく、自社で発電所を持ち電気をつくっています。
本社は東京の六本木に、大阪市北区に支社があります。資本金は約53億円もある新電力です。
会社名 | 株式会社F-Power |
事業内容 |
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代表者 | 鈴木順子 |
設立 | 2009年4月1日 |
所在地 |
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資本金 | 5,289百万円 |
関連会社 | (株)新中袖発電所 (株)新潟ニューエナジー (株)G-Power |
中部地区からスタートし、関東、関西へと拡大
F-Powerの電力供給は中部地区からスタートしました。その後、千葉県袖ケ浦市に新中袖発電所というガス発電所をつくり、関東、そして関西、九州へと事業を拡大していきました。
自社の発電所でまかないきれない地域は、電気をつくっている会社から電気を買って、企業に売っています。
その後も、四国、中国、北海道と電力供給エリアを拡大し、2015年10月、北陸で電力小売事業サービスをスタート。これで沖縄を除く全国展開を達成しました。
100万kwまで5年かかったが、200万kwまでわずか7カ月
F-Powerの「すごさ」を一言で言うと「成長スピードの速さ」でしょう。
F-Powerが契約電力100万kwに達したのは2014年10月です。会社設立が2009年4月なので、5年7カ月で到達しています。すごいですよね。しかしもっとすごいのは、そこからなのです。
F-Powerの契約電力は2015年5月に200万kwに達しました。100万kwに達成してからわずか7カ月しか経っていません。
そして、2016年3月にはもう300万kwになりました。F-Powerはまだまだ電力供給量を拡大させていく方針を示しています。
F-Powerの電気料金プラン
本来はここで
- F-Powerの電気料金は〇〇円ですよ
- F-Powerの電気はこういうふうに買うとお得ですよ
といった情報を提供したかったのですが、なんと、F-Powerは自社の電気料金プランを公表していないのです。これでは東京電力とか関西電力とかと比較できないですよね。困ったものです。
ただ、電気料金についてF-Powerは、少し面白い提案をしているので、それを紹介します。
「完全固定商品」という料金の決め方
東京電力などの大手電力会社は、燃料費調整制度というルールで電気料金を決めています。これは、発電所の燃料である石油や天然ガスや石炭が値上がりすれば、消費者が支払う電気料金も値上げするという仕組みです。石油などの価格が下がれば、電気料金は値下がりします。
これは一見合理的なようにみえますが、電気を買う消費者としては、電気料金の予測がつかないのでいつも冷や冷やしなければなりません。
そこでF-Powerは、1~3年の契約期間中、電気料金の単価を固定する料金プラン「完全固定商品」をつくったのです。これなら企業などは電気代のことを気にせずビジネスができます。
石油などが値上がりしても電気料金は値上がりしません。その代わり、石油などが値下がりしても電気料金は安くならないのですが。
顧客の選択肢を増やす
F-Powerではその他に、「原油連動商品」や「市場連動商品」などの料金プランも設定しています。
こちらは石油価格や電力市場価格に連動して電気料金が変動しますので、石油価格や電力市場価格の値が下がったタイミングで完全固定商品に移れば、消費者は安い価格で電気を買えるということです。
顧客思いのプランといえるでしょう。
F-Powerのメリット
F-Powerの電気を使うメリットは「信頼性」です。2011年3月11日の東日本大震災後に、電力供給が一時的に不安定になりましたが、F-Powerは大手電力会社からの切り替えを希望する顧客を受け入れ続けたのです。
これは大変なことだったと想像します。しかし大変なときに力を発揮する企業は、社会から頼りにされます。F-Powerはピンチのときに着々を力をつけていった新電力会社といえるでしょう。
「信頼」を支える3つの調達ルート
F-Powerがなぜ安定的に電力を供給できるかというと、次の3つの電力調達ルートがあるからです。
POINT
- 自社発電所からの調達
- 他社発電所からの調達
- 電力市場からの調達
まさに3本の矢です。だからF-Powerは強いのですね。
まだまだ発電所を増やしていく
自社発電所についてですが、F-Powerは、運転開始予定のものも含め以下の7つの発電所を持っています。
- 新中袖発電所(千葉県)
- 新潟ニューエナジー
- 那珂瓦斯発電所(茨城県)
- 新潟・長岡火力発電所(2018年7月運転開始)
- 北九州・響灘火力発電所(2019年2月運転開始)
- 千葉・茂原火力発電所(2019年5月運転開始)
- 千葉・椎の森火力発電所(2019年6月運転開始)
かなり大規模な投資をしています。
どこかに支障が起きても安心
F-Powerは自社発電所に加えて、日立造船や東京都などが持っている発電所から電気を買いつけています。これが他社発電所からの調達ルートです。
電力市場からの調達とは、余った電力を売ったり足りない電力を買ったりする「場所」で電力を買う方法です。その「場所」のことを日本卸電力取引所(JPEX)といい、電力市場と呼ばれることもあります。
3つの調達ルートがあるということは、いずれかのルートに支障が起きても、電力供給を継続できるということです。これが信頼獲得につながっているのでしょう。
F-Powerのデメリット
F-Powerのデメリットは、個人や一般家庭向けに電力供給に、それほど力を入れていないことです。つまり、一般家庭にメリットがないことがデメリットです。
F-Power自身、ホームページでは…
低圧電力については、個人・ご家庭のお客さまへ直接の受付は現在行っておりません。弊社のパートナー企業(代理店)を通じて電気を供給しております。
出典:F-Power 公式HP
と述べています。
エネットの口コミ・評判
それでは次にF-Powerの口コミ情報をみていきましょう。
電気代節約。電力自由化で、東京ガス、エネット、F-Power、丸紅、JX日鉱日石エネルギー、日本テクノのシェアの順番です。
2016年4月提供開始。
東京ガスと、エネットに、確認済み。
東京ガスで… https://t.co/lzO7FJVLQC— Double Rainbow@西野家 (@6C6Fe1le) 2015年11月1日
こちらの方は、電気代を節約でき新電力の中にF-Powerを含めていますね。これはF-Powerユーザーが安心できる情報ではないでしょうか。
他にも企業の電気代節約ではありますが…
27施設の電力供給 PPSに切り替え – 東京新聞 http://t.co/lHW7LW1BqA … 電力供給を、東京電力から特定規模電気事業者(PPS)の「F-Power」(東京都港区)に切り替えた。一年間に換算して約千百八十万円のコスト削減を見込む。 切り替える…
— librarynews jp (@librarynews_jp) 2015年1月14日
東京電力からF-Powerに切り替えると、1年間に1,180万円ものコストダウン効果が期待できるといった内容になっています。ちょっと異次元の節約額になっていますが、なんかすごいですねw
官庁は東電から電気を買っていない。農水省エネット、経産省 F-Power、法務省 F-Power、総務省エネット、総務省第二庁舎イーレックス 、内閣府エネット、財務省エネット、中央合同庁舎五号館(厚労省、環境省、内閣府防災、テナント)エネット、国交省エネット、外務省FPower
— dadajiji39 (@dadajiji) 2013年8月22日
こちらの情報も「へえ、そうなんだ」と感心してしまう内容です。省庁といえば東京、東京といえば東京電力――というイメージがありましたが、これだけの省庁がすでにF-Powerを含む新電力から電気を買っているんですね。
新電力のパワー、おそるべしです。
まとめ
F-Powerは「知られざる実力者」といった感じです。F-Powerは家庭用の電気を売らないので、なかなか世間の知名度は上がりませんが、しかし業務用の電力ではかなり大きな力を持っていることがわかりました。
電気は元々、産業の「陰の立役者」ですが、F-Powerはさらに地道にこつこつと電気をつくり、そして販売しているのですね。300社以上もあると言われている新電力業界で、際立った存在といえるのではないでしょうか。
最後に、規模の大きな電気を扱っている新電力なので、該当しない方が多かったはずです。もし、事務所や商店向けの新電力をお探しなら以下の記事を参考にしてください。